yukiyoshisato's blog

とりとめのないめも

『デザイン思考が世界を変える』はプロダクトマネージャー必読の書

何気なく本屋でパラパラっとめくって読んでみるかと思って読んだのですが、期待を超える良本でした。

プロダクトマネージャーになってからと言うもの、どのようなプロダクトを世に出していけば良いのか考える機会が増えたのですが、この本はそのような人にとても良いヒントを出してくれると思います。

デザイン思考自体は考え方のフレームワークであり、必ずしもプロダクトを生み出すために使うものというよりは、もっと広い意味での課題解決のためのものという感じです。

こちらの本の中でも特に印象に残っているのは以下の2点です。

  • 表面化されたニーズを満たすのではなく、人々が自分でさえ気付いていない内なるニーズを明らかにする事が大切
  • 内なるニーズを明らかにするために必要なことは顧客をよく観察し、洞察を得る

1点目は自動車の育ての親と言われるヘンリー・フォードの話が紹介されており、

顧客に要望を聞いたところで、彼らは早い「馬」をよこせとしか言わないだろう

 まさにそういうことですね。もちろん顧客の要望を拾い上げてプロダクトに反映することはとても重要なアクティビティであると思いますが、パラダイムシフトを起こせるようなプロダクトはそこからは産まれないということですね。

2点目について手前味噌な話で恐縮ですが、私自身も以前SIerで金融機関向けのシステム開発に携わったり、金融機関の業務側で働いていたりしたのですが、その時に感じたことを今でも鮮明に覚えています。「え、なんでこんなこと業務でやってるの・・?要望出せばこんなの一瞬で実装できるのに・・・」みたいなことです。

スティーブ・ジョブズも確かヘンリー・フォードと似たようなことを言っていました。(以下は私の記憶ベース)

顧客からは素晴らしい製品は産まれない。なぜなら彼らは技術が何を可能にするかを知らないからだ

フォードやジョブズに比べて私の例なんて1兆分の1ぐらいのスケールですが、何か通ずるものを感じました。

自分でシステム開発をしていないので当たり前ですが、どういう事が実装可能なのかとか、どういうデータの持ち方してるだろうからこれは簡単に出せるだろうとか想像するのは難しいです。というか想像すらできなかったりします。

実は私が金融機関に勤めていた時に機械学習の勉強をし始めようと思ったきっかけも、この辺の事が気になっていたというのもありました。ベンダーからはソリューションを持ってこられるのですが、それが本当に解決すべき課題なのか?みたいなモヤモヤがありました。でも、そもそも技術で何が実現できるのかを知らなければ、解決可能な課題を捉えることすらできません。

良いプロダクトを作り上げていくには、技術を学ぶだけでも、顕在化している要望だけ拾い上げているだけでもダメで、技術をよく学び、顧客をよく観察して洞察を得る事が必要であるという事をこの本は教えてくれました。